死すべきものとしての人間 ― 生と死の思想
2009年度開講

死すべきものとしての人間 ― 生と死の思想

第1回「有限的な生の意味」 Lecture 1 "The Meaning of a Finite Life" 生と死をめぐる現代の哲学的な思考は、伝統的な永遠概念の効力が停止したところから開始される。そのような前提のもと、「死すべきもの」という人間の規定を引きうけながら思考を開始した、ハイデガーの思索をとり上げる。そのことで、死を見据えることから浮かびあがってくる、生そのものの肯定のしかたを考えてみたい。 第2回「他者と共に在る生」 Lecture 2 "Life With Others" ハイデガーに対しては、さまざまな批判が提起されてきた。生と死の問題をめぐっては、その独我論的な傾向や「雄々しい」生への性向などが問題とされてきたといってよい。今回は、和辻哲郎、九鬼周造、レヴィナスの批判をとり上げながら、生の意味をめぐって、ハイデガーとはべつの視角から考える可能性を探ってみたい。